和紙糸の服って洗えるんですか??──洗えるのはもちろん!和紙糸が強い理由

2025年11月18日

 

SHIMAKOROMO Lab.のブログとして、まず初めに書いておきたいことは、紙へのちょっとした誤解についてです。


「紙は水に弱いもの」──多くの人が、なんとなくそんなイメージを持っているかと思います。

そして SHIMAKOROMO Lab. の“和紙糸”の服を紹介すると、決まって返ってくる質問があります。


「これって…洗えるんですか?」

「洗濯したら、水に溶けたりしませんか?」


この疑問の根っこには、私たちが日常で触れてきた紙のイメージ、

特に トイレットペーパーの存在 が大きく関わっているように思います。

 

 

「紙は水に溶ける」という誤解はどこから来たのか?

 

私たちが普段触れる紙の中で、いちばんよく使うのがトイレットペーパーではないでしょうか。


トイレットペーパーは

  • 水に入れるとすぐ崩れる

  • 排水のためにあえて繊維を短く、弱く作っている

という 特殊な“溶ける紙”

 

この印象があまりにも強いため、

「紙=水に弱い」「紙=溶ける」と思われるのも納得できます。


(何を隠そう、私たちも初めはそうでした。)


しかし、これは紙全体の性質ではありません。

 

 

紙は本来「溶けない」。布に近い“繊維の集合体”

 

紙はそもそも、溶けるのではなく “繊維がほぐれる” のが本質です。

セルロースという植物繊維を絡ませて固めたもので、仕組みとしては 布に近い


コピー用紙を水に入れても、溶けて消えることはありません。

ふやけ、破れやすくなるだけで、溶解はしません。


つまり「紙だから水に弱い」は半分間違いで、

“弱く作られた紙が溶ける”だけ なのです。

 

 

 昔の紙は“とても強かった”──和紙の本当の姿

 

ここでもう一つ、誤解をほどく視点があります。

それは 「昔の紙は、現代の紙より圧倒的に強かった」 という事実です。


日本の伝統的な和紙は、

  • 楮(こうぞ)・三椏(みつまた)・雁皮(がんぴ)など“長い繊維”

  • 手漉きで繊維をしっかり絡ませる

  • 添加物少なめ

  • 高い密度

で作られていました。


だからこそ、

何百年も残る古文書や浮世絵が存在するわけです。


繊維が長く、しなやかで、強い。

和紙は「破れやすい紙」とは真逆の性質を持っていたのです。

 

 

 SHIMAKOROMO Lab. の和紙糸は、世界の紙幣と同じ素材

 

島衣の和紙糸は、

マニラ麻(芭蕉科の植物)などを主な原料に使用しています。


マニラ麻は、世界の紙幣や高級紙でも使われる “強靭な繊維”。

特にアメリカドルやフィリピン紙幣などでは

コットン×マニラ麻の混合紙 が一般的で、

その耐久性は世界が認めるレベルです。


つまり島衣で使われている和紙糸は、

“世界のお札”と共通するルーツを持つ植物繊維 なのです。


この素材を現代の工業的技術でペーパーにして、

特殊な工程を経て糸へと加工することで、次のような特性が生まれます。

洗っても溶けない・破れない

マニラ麻そのものが水に非常に強く、紙幣の耐久性の源でもあります。

 

✔ 毛玉にならない

繊維が細く、絡まない。

 

✔ 軽くて通気性が高い

温暖化にも強い、沖縄の気候にとても合う。

 

✔ 抗菌性・消臭性・速乾性に優れる

植物繊維の自然な機能が生きている。

 

“紙なのに強い”のではなく、

植物繊維として優秀だから強い のです。

 

 

“紙の服”の本質は「植物の服」。自然と肌が調和する理由

 

紙というと儚く頼りない印象を持つかもしれませんが、

繊維レベルで見れば、それは 植物の力を生かした天然素材 です。


和紙糸は

  • 軽く

  • 通気性が抜群で

  • 湿気を吸って乾きやすく

  • ニオイが残りにくく

  • 快適性を保つ

という、南国・沖縄の暮らしにぴったりの性質を持っています。


“紙だから弱い”という固定観念は、実は現代的な偏りなのかもしれません。

本当の紙はもっと丈夫で、もっと生活に寄り添う存在でした。


島衣の和紙糸は、その本質を現代の衣服に再解釈した素材なのです。

 

“紙の服”という言葉が驚きと不安を生むなら、

その誤解を静かにほどいて行くのも、私たちの役割だと思っています。


島の風土を編む ──島衣。