SHIMAKOROMO Lab.のブログとして、まず初めに書いておきたいことは、紙へのちょっとした誤解についてです。
「紙は水に弱いもの」──多くの人が、なんとなくそんなイメージを持っているかと思います。
そして SHIMAKOROMO Lab. の“和紙糸”の服を紹介すると、決まって返ってくる質問があります。
「これって…洗えるんですか?」
「洗濯したら、水に溶けたりしませんか?」
この疑問の根っこには、私たちが日常で触れてきた紙のイメージ、
特に トイレットペーパーの存在 が大きく関わっているように思います。
「紙は水に溶ける」という誤解はどこから来たのか?
私たちが普段触れる紙の中で、いちばんよく使うのがトイレットペーパーではないでしょうか。
トイレットペーパーは
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水に入れるとすぐ崩れる
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排水のためにあえて繊維を短く、弱く作っている
という 特殊な“溶ける紙”。
この印象があまりにも強いため、
「紙=水に弱い」「紙=溶ける」と思われるのも納得できます。
(何を隠そう、私たちも初めはそうでした。)
しかし、これは紙全体の性質ではありません。
紙は本来「溶けない」。布に近い“繊維の集合体”
紙はそもそも、溶けるのではなく “繊維がほぐれる” のが本質です。
セルロースという植物繊維を絡ませて固めたもので、仕組みとしては 布に近い。
コピー用紙を水に入れても、溶けて消えることはありません。
ふやけ、破れやすくなるだけで、溶解はしません。
つまり「紙だから水に弱い」は半分間違いで、
“弱く作られた紙が溶ける”だけ なのです。
昔の紙は“とても強かった”──和紙の本当の姿
ここでもう一つ、誤解をほどく視点があります。
それは 「昔の紙は、現代の紙より圧倒的に強かった」 という事実です。
日本の伝統的な和紙は、
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楮(こうぞ)・三椏(みつまた)・雁皮(がんぴ)など“長い繊維”
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手漉きで繊維をしっかり絡ませる
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添加物少なめ
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高い密度
で作られていました。
だからこそ、
何百年も残る古文書や浮世絵が存在するわけです。
繊維が長く、しなやかで、強い。
和紙は「破れやすい紙」とは真逆の性質を持っていたのです。
SHIMAKOROMO Lab. の和紙糸は、世界の紙幣と同じ素材
島衣の和紙糸は、
マニラ麻(芭蕉科の植物)などを主な原料に使用しています。
マニラ麻は、世界の紙幣や高級紙でも使われる “強靭な繊維”。
特にアメリカドルやフィリピン紙幣などでは
コットン×マニラ麻の混合紙 が一般的で、
その耐久性は世界が認めるレベルです。
つまり島衣で使われている和紙糸は、
“世界のお札”と共通するルーツを持つ植物繊維 なのです。
この素材を現代の工業的技術でペーパーにして、
特殊な工程を経て糸へと加工することで、次のような特性が生まれます。
✔ 洗っても溶けない・破れない
マニラ麻そのものが水に非常に強く、紙幣の耐久性の源でもあります。
✔ 毛玉にならない
繊維が細く、絡まない。
✔ 軽くて通気性が高い
温暖化にも強い、沖縄の気候にとても合う。
✔ 抗菌性・消臭性・速乾性に優れる
植物繊維の自然な機能が生きている。
“紙なのに強い”のではなく、
植物繊維として優秀だから強い のです。
“紙の服”の本質は「植物の服」。自然と肌が調和する理由
紙というと儚く頼りない印象を持つかもしれませんが、
繊維レベルで見れば、それは 植物の力を生かした天然素材 です。
和紙糸は
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軽く
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通気性が抜群で
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湿気を吸って乾きやすく
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ニオイが残りにくく
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快適性を保つ
という、南国・沖縄の暮らしにぴったりの性質を持っています。
“紙だから弱い”という固定観念は、実は現代的な偏りなのかもしれません。
本当の紙はもっと丈夫で、もっと生活に寄り添う存在でした。
島衣の和紙糸は、その本質を現代の衣服に再解釈した素材なのです。
“紙の服”という言葉が驚きと不安を生むなら、
その誤解を静かにほどいて行くのも、私たちの役割だと思っています。
島の風土を編む ──島衣。